2007.04.20 (Fri)

赤石の陰謀〜第八話〜 

忘れていません、『赤石の陰謀』 絶賛連載中〜・・

前回までのストーリーはこちら


 


そこにはfubufubu総統が立っていた。


「間に合ったか・・」


総統はそう言い、Alstonの方へ静かにそして彼を押さえ込むような視線を向けた。


「困りますね、Alstonさん。ここは貴方が来る場所ではない。
 お引き取り願えますか?」


Alstonの顔は真っ赤になっていた。


「ど・・どういう意味ですか?
 僕が愛子さんに会いに来て何が悪いんだ!」


「その理由を今更私が話す必要がありますか?
 それは貴方が一番分かっていらっしゃるでしょう?」


私は二人の会話の意味がなんとなく掴めてきた。
と同時に今までの事件の謎の複雑な糸がほどけていく感覚を掴んだ。


す〜らんが亡くなったのを発見したのはAlstonであり、爆発事件の現場に
居合わせ、かつその直後行方をくらましていたのもAlston・・。


「Alstonさん、残念ながらもう言い逃れは出来ません。私達
 クロマティガードは本事件において貴方をずっと監視させて
 いただいておりました。」


総統は丁寧にかつAlstonを威圧するようにそう言った。


「素直に私についてきてください。」


そう言って、総統がAlstonの手を取ろうとした瞬間、
彼はすばやく腰のポケットから銃を取り出し、総統に向けて発砲した。


三人の時が止まった。。


静かに膝から崩れ落ちる総統。私は無意識の内に総統を受け止めるべき
床に落ちてしまう前に彼を抱きとめた。


胸ポケットのクロマティガードの紋章の刺繍から、静かに血が滲み出し、
やがて大きな水溜りのように、総統の胸を真っ赤に染めた。


忘れていた、いや忘れなければいけなかった記憶が私を襲う。
涙など無くしてしまったと思っていたのに、何処からともなく
涙が溢れ出してくる感覚が自分を襲う。


「あ・・あいこ・・・」


最後の力を振り絞り、何かを言おうとしている。
口の動きを必死で読み取ろうと、耳を彼の口に近づけた。


「か・・かた・・」


「かた?」


彼は渾身の力てで手を持ち上げ、私の肩を指差した。


「肩か。肩がどうしたんだ?」


そう言うと私のこめかみに冷たいものがあたった。
Alstonが私に銃を向けていたのだ。


「愛子さん、もういいですか?僕は貴方を連れて帰らなきゃいけないんだ。
 悪いけど、ラヴシーンを見てる暇はないんだ。」


今まで見た事もない冷笑を浮かべるAlstonが、拳銃の引き金を引きながら
そう言った。


「Al・・何がどうなって、こんな事をしているのか私には
 理解できないが、私を殺したいのか?」


「いあ〜、愛子さん死んじゃうと僕まで死んじゃうから、それは
 ないですよ。ただ、暴れないように少し傷は付くかもしれませんけどね。
 だから、少し我慢してくださいね」


そう言って、彼の手に力が入ったのが私のこめかみを通じて感じられた。


その瞬間、パーンという音と共にALが大きく後ろに向って転倒した。
私は一瞬何が起こったのか理解できなかったが、それが総統の手にある
拳銃から放たれたものである事に気付いた。


敢えて外したのか、外れてしまったのかは不明だが
その銃弾がAlstonの命を捕らえるには至っていなかった。
Alstonはゆっくりと起き上がりながら、肩を押さえ再びこちらに
向って歩いてきている。
総統の銃弾はAlstonの肩を捕らえただけに終わってた。


「fubufubu総統。僕は貴方みたいに正義感に燃えている人種が大嫌い
 なんだ。あんたみたいな人がいるから、僕みたいな妖族は、いつまで
 経っても日の目を見る事ができないんですよ。」


そう言って、再び拳銃を総統に向け今度は間を空ける事なく


パーン、パーン


と二発撃ち放った。
一発は胸、そしてもう一発は頭を見事に捕らえていた。


私はなす術もなく、その惨劇を見ていた。
私の手の中で、完全に息絶えてしまった総統がいた。


一体誰がこんな形で実の父を失うと予測出来たであろうか。


私の心がまた一つ、音を立てて壊れた気がした。



                    次回へ続く。。

EDIT  |  18:02 |  赤石の陰謀  | TB(0)  | CM(5) | Top↑
2007.03.30 (Fri)

赤石の陰謀〜第七話〜 

前回までのストーリーはこちら



病室の窓から、かすかな月灯りと春を匂わせる心地よい風が流れてくる。
ここに入院して、私は四日目の夜を迎えていた。


研修医ギャブレーが言うには、明日にでも私は退院が出来るそうだ。


元々荷物もないので今更片付けるものも無いのだが、眠れぬ夜の気を
紛らわそうと、私はベットから立ち上がり周りを見渡してみた。


ベットの横には、fubufubu総統が持ってきてくれたというコスモスの花が
微かな風に揺られながら、花弁を一枚、そしてまた一枚と落とし始めていた。


記憶の彼方にあるこのコスモスの記憶。誕生日ごとに食卓に飾られたこのコスモス。
まだそんな記憶にしがみついている自分に少し苛立ってしまった。


「もうこの花も終わりかな・・」


誰に言うでもなく、私はそう呟き花瓶ごと手に取り持ち上げ、この世の見納め
にその花に月の姿でも見せてやろうと、窓際に向った。


窓から見えるこの病院を囲んでいる塀には多数のクロマティガード
が夜通しの警護をしていた。


そう言えばギャブレーが言っていたな・・・。


あの爆発事件以来、その事件被害者に対しfubufubu総統の号令のもと
クロマティガードが厳重な警護を開始した、と。。


そして事件の直前、私とリシュエルがテレポ前で言い争って
いた事を多数のクロマティガードが目撃していた事から、
この事件の容疑者はリシュエルになっているらしい。


だが、本当にそうなのであろうか?

だとしたら、何故彼は私に危険を知らせたのか?

何故逃げろと言ったのか?

そして、Alstonは一体どこへ消えてしまったのか・・。



「綺麗な花ですね」


いきなり背後から聞こえてきた声に、私はびっくりして
花瓶ごと床に落としてしまった。
そして、花瓶は大きな音を立て割れてしまった。


「あ〜ぁ・・、もう愛さんたら、相変わらずですよねw」


そこには悪ぶれる様子もない、Alstonが立っていた。


「AL・・・・、どうして? 無事だったのか?!」


「当然ですよ。僕をなめてもらっちゃ困りますw ギルド戦での
 逃足の速さは愛さんも知ってるでしょ」


悪戯っ子のような顔をしながら、Alstonは私が落とした花瓶の
欠片を拾い始めた。


私の足元の前に身をかがんでいる彼の首元から背中にかけて、
槍に付かれたような無数の生々しい傷が見えた。
どう見ても、爆発が原因の傷ではないように見えた。


ギャブレーの話によると、アウグの大聖堂の爆発事件以来、各国とも
ギルド戦は休止しているらしい。なのに・・何故Alstonはこのような
傷を負っているのだ。。


私の視線に気付いたのか、彼は急いで首元を隠すかのように立ち上がった。


「AL・・? その傷は?」


「ぁ・・いあ、ほら・・ギルド戦が今無くて稽古ですよ、やっぱ毎日
 鍛えとかないと、体がなまっちゃうじゃないですか」


稽古?普段、私がいくら稽古しろと言っても絶対しないALが稽古だと?


彼の言い訳が明らかに嘘であるという事は、彼が私の目を
見ようとしていない事からも明白であった。


「AL、一体何を隠してる?」


「な・・何も隠してなんかいませんよ。やだな愛さん・・
 最近少しピリピリしすぎじゃないですか?ここを退院したら少し旅行でもして
 ゆっくりした方がいいですよ」


だがもはや、Alstonの台詞は私の耳には届いていなかった。


考えてみれば、この病院の厳重な警護体制をくぐり、どうやって
Alstonはここにやってきたのだ?
行方不明という事になっているのだから、病院に現れた時点で
なんらかの連絡は私に入るのではないか?


それが彼はまるでこの病室に忍びこむかのように、いきなり現れた。


一体なんの目的で?


無数の謎と秘密が絡み合い私の思考能力は限界を迎えようとした時、
バタン、という音と共に病室のドアが開いた。


そこにはfubufubu総統が立っていた。

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